2006年天真生誕記念イラスト
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目の前には呆れた妹の顔と何故か機嫌の良さげな友人達。そして何を考えているのか珍しく百面相している恋人…。 そんな面々をよそに天真は半分くらい減ったケーキの上の苺を指で摘んで取る。何とも行儀の悪い食べ方だろうか、けれどそんな事も天真は気にしていない。 「何が甘いものは余り好きじゃない、よ…一人でその量食べてて言える台詞じゃないよお兄ちゃん…」 「何だよ、腹減ってたんだし俺にくれたもんなんだからいいだろ別に」 呆れた言葉を吐いた蘭の視線の先は天真が食べている最中のケーキを見ている。今日は天真の誕生日で、詩紋が手作りでケーキを用意したのだが、その1ホールあったケーキの半分近くを天真が一人で食べたのだから、呆れるのも無理はない。 「いいじゃない、蘭…天真君は今育ち盛りなんだからさ。ね?」 「…何なんだよ、その何か含みのある言い方…」 あかねが蘭へと言うのに対して何となくいい事を言われているようには思えず天真は眉を寄せる。するとあかねは意味ありげにくすりと笑った。 「べっつに〜。さ、私達からのお祝いはした訳だし帰るよ。行こう、イノリ君、詩紋君…蘭も」 「おう、二人の邪魔しちゃ悪いもんな」 「邪魔って…ああ、そういう事ね。仕方ないなぁ…」 「それじゃ天真先輩、頼久さん僕たち失礼するね」 口々に言ってそそくさと帰って行くあかね達。天真は何だったんだと首を傾げつつ摘んだままの苺を口へと運ぼうとした。今は考えるより先に食欲、らしい。 だが、それはそれまで静観していた頼久によって止められた。 一瞬の事。 スッと近づいてきた頼久が天真の頬についたクリームを舐め取った。 突然の行動に天真は驚く。 「なっ…何すんだよ、いきなり…っ」 「…ここにクリームがついていたのでな…取っただけだが、何かまずかったか?」 そう真顔で言う頼久。この男には恥じらいというものがないのだろうか。 「取るにももっと違う取り方があるだろっ?いきなりそんな恥ずかしい取り方するなって!」 「そうか…では天真、そう言って恥ずかしがるお前を見たかった…と言ったらお前は怒るか?」 「…っ…」 これはカウンターパンチだ。百面相しながらまさかこんな事を考えていたとは、天真には想定外だ。 臆面もなく告げた頼久の言葉に、天真の頬が見る見るうちに赤くなる。 「ば、馬鹿な事言ってんじゃね〜…っ!」 「馬鹿な事…なのか?お前の色んな顔が見たいだけなのだが…そう思ってはいけないか…?」 またしても真顔で返される。これでは過剰に反応している自分がただ墓穴を掘っているだけに天真は思えてきて。 「悪いとは…言わねぇけど、さ…いきなりすぎるんだよ、お前は…」 「そうか…では予告すれば構わないと言う事だな」 「は?」 一瞬思考が止まった。 頼久の言った言葉が瞬時に理解できない。 「…今お前に触れたい…」 「え、うわっ…ちょっと、待て…っ」 思考停止している隙を突かれて頼久に押し倒され、焦りだす天真。だが、頼久に力で敵う訳はない。 「…言った側から押し倒してちゃ予告になんねーだろ…お前…」 「そうか…それもそうだな」 呆れた声の天真に返ってくる返事は明らかな確信犯で。 視線で訴えかけられて、それに絆される自分も仕方ないのかも知れないと思いながら、天真は頼久の腕に体重を預ける。 (…今日は俺の誕生日の筈なのになんで俺が妥協してんだ…?) 僅かにそんな疑問が残ったものの、頼久の機嫌が良さそうなのでわざわざ混ぜ返す必要もないかと、天真はそんな思考は振り払い、自分を包む温もりに身を任せた。 イラストは天真が苺を頬張ろうとしている図というものを描きました。頬にクリームがついてるのはSSで頼久に舐めさせる為…でした(笑) ミニSSをつけるつもりだったのがショートSSくらいの長さになってしまいました(笑) 頼久とイノリが現代についてきたという設定で現代の話にしています。うちの基礎、頼天でイノ詩です。そして蘭とあかねはその二組を応援しています。 何だかしばらく頼天を書いていない間に、うちの頼久が「ただの天真バカ」から一歩前進していますね…(笑)こんなに堂々としていなかったと思います、前は…。あ、でも時にはそういう部分もあったのか…? 何にせよ、楽しんで書けたのでよかったです(*^_^*) この後のシーンについては皆様のご想像にお任せ…しちゃいけませんかね?(笑)ここから先を書くと表には置けないものになりそうですからね…ハハ。 続きが見たいと言う稀有な方がいましたら、書いて裏に置こうかな…(笑) |