「だ、駄目だ…こんな所じゃ…せめて部屋に…っ」 帯が完全に解けてしまう寸前で何とかヒノエを押し留めて、九郎は必死でそう告げる。やはりこんな場所で望美に全てを見られてしまうのは、九郎の中で激しい抵抗があった。 懇願する九郎の視線にヒノエは心内で残念そうな溜息をついた。ヒノエとしては牽制の意味も込めて周りに九郎との関係を見せびらかしたかったのだろう。けれど、九郎本人にここまで拒絶されては、ヒノエも我を通す事が躊躇われた。 「…仕方ないね、そんなに二人きりになりたいのかい?」 「…っ、馬鹿っ。そんな意味で言った訳じゃ…っ」 見せびらかす事は諦めて勝手な解釈で九郎の抵抗の意味を捉えるヒノエの言葉で、九郎は羞恥に顔を染めながら可愛らしい悪態をつく。 「…そういう訳だからさ、サービスはここまでだよ望美?」 「うーん、残念!でも恥らう九郎さんも可愛いから特別に許すわ!据え膳美味しく頂いてきちゃって、ヒノエ君っ」 どうやら望美から教えられたのか横文字の言葉も平気で使いこなすヒノエに、残念がってはいるものの結果的に美味しい展開となって、望んでいた萌えを供給できた望美は思い切りヒノエの背を押す。 「ふふ、望美のお許しも出たし…行こうか九郎?部屋でなら構わないんだろ?」 「え…あ…っ?」 言うが早いかヒノエは先程床へと押し倒した九郎の体を抱え上げた。俗に言うお姫様抱っこという状態だ。 「わ〜おvヒノエ君、掴み所熟知してる〜vv」 「ヒ、ヒノエ…下ろせっ…」 突き刺さる望美の異様な視線にいたたまれない思いで九郎はヒノエの腕から逃れようともがく。けれど九郎を支えるヒノエはびくともせず。 「キス一つで腰砕けになってる九郎がこの腕から抜けられる訳なんてないのに…ふふ、往生際が悪いね」 「…っ、望美みたいな意味の解らん言葉で誤魔化そうとするな…っ」 悪びれる様子もなく言ってのけるヒノエに対抗する九郎だが、やはりヒノエの腕から逃れられない。 「…ヒノエ君、今度今日の感想聞かせてね〜☆」 「…そうだね、お膳立ての礼代わりに聞かせてあげるよ」 とんでもない約束が二人の間で交わされたのを恨めしそうに見上げながら、九郎はそのままヒノエによって部屋へと運ばれてしまった。 「最後まで見せてもらえなかったのは残念だけど、話は聞かせてもらえるからそれを楽しみにしてようっと。それよりも、これはいいネタになるわー新刊の売り上げは期待できそうね!」 最強腐女子同人作家兼最強白龍の神子・春日望美。彼女の野望は果てしなく広い…。 所変わってここは九郎の部屋。 あのままお姫様抱っこでここまで連れて来られた九郎は、ヒノエによって息をつく間もなく様々な手段で愛されていた。 「…んっ、あ…ヒノエ…っ…あぁ…」 「…可愛い、九郎のここ…赤くなって震えてる…」 口付けだけで既に反応を示しかけていた九郎の下肢で存在を主張している屹立を見つめて、ヒノエは嬉しそうにそう囁く。 衣を剥ぎ取られ露になっている肌で息づく二つの小さな果実を、両の手で撫でたり捏ねたり抓んだりしながら、形を変えていく九郎のモノへヒノエは唇を寄せていく。 悪戯を仕掛けるように、天を突くような形になってきているそこへと舌を這わせれば、九郎の体がビクンッと震えた。 「あぁ…っ」 抵抗がないのをいい事に、ヒノエは形をなぞるように舌を滑らせたり口内に含んだりして、ズクズクと疼く塊を執拗に攻め立てる。 「んんっ…ゃ、ヒノ…エ…っ」 既に九郎の口から出る言葉は特に意味を成さないものとなっていて、甘い吐息が止め処なく零れるばかりで。 それに気を良くしてヒノエは更に口と舌で九郎の昂ぶりを愛撫していく。そして、傷つけない程度に軽く歯を立てた瞬間、九郎は一際甘い声を上げた。 「はぁ…っ、ぁん…っ」 感度が良く刺激に弱い九郎は、それだけで張り詰めていたものを押し留められなくなったのか、まだ九郎の熱棒を銜えたままのヒノエの口内に熱い飛沫を放った。 次いでゴクンという何かを嚥下する音が静かな室内に響く。 その音で九郎は、自分が出したものをヒノエが飲んだのだと理解して、酷く顔を真っ赤にして動揺した。 「…ヒ、ヒノエっ…今・・・今…っ」 「ふふっ、そんなに驚かなくてもいいだろ?初めての事じゃないんだからさ…ま、そういう所が可愛いんだけどね?」 混乱する九郎の様子にクスクスと声を漏らしながら微笑うヒノエを、九郎は強い視線で見やって押し黙ってしまう。何か言葉にすればまた墓穴を掘ってしまうとでも思ったのだろうか。 「…あれ?反論しなくていいの?…それとも拗ねちゃった?…本当にお前は可愛いな…」 「…しつこいぞっ、何度も可愛いなどと連呼するな…っ」 折角押し黙ったのも持ったのは極僅か、あまりに可愛いと連呼するヒノエの態度に九郎は閉ざした口を開いて力一杯叫んだ。 そしてまたヒノエの微笑う声。 「それだけ元気があるならまだまだ大丈夫だよね?続き、するよ…」 「つ、続きって…ぁ、んんっ…ヒノエ…っ」 すっかり無防備になった九郎に、ヒノエは止まっていた愛撫を再開し始める。 当然の如く、何かを言い返そうとした九郎の言葉は触れてきたヒノエの手の動きによって、すぐさま甘い声へと変えられる。 「このまま放置じゃ九郎だって辛いだろ?それにね…オレがもう、我慢できない」 「…あっ、はぁ…っ」 萎えかけていた場所への的確な刺激と肌に触れるヒノエの熱い息に、再び中心に熱が集まり始めて九郎は鋭敏な感覚を持て余すように吐息を零す。 「…何回抱いたって足りない…もっと九郎が欲しいよ…」 熱く耳元へ囁く声に知らず九郎の体は愛されている至福に震える。求められるままに応えたくて、九郎は腕を伸ばしてヒノエの背を抱き締めた。 まるでそれが合図だとでも言うように。 二人の体が薄暗くなり始めた室内で一つに溶け合う。鼓動と鼓動が重なり合って、荒く激しく息が乱れる。 「九郎…っ」 性急過ぎる交わりにヒノエも呼吸を荒げ、愛しい恋人の名を請い求めるように囁く。 腕の中の九郎を掻き抱いて、本能の促すままに甘い熱に溺れる。 「あぁっ…はっ、ヒノエ…あぁん…っ」 九郎も最早強すぎる快感に声も嗄れそうな程に喘ぐばかりで。理性などとうに飛んでいたのかもしれない。 「…好きだよ、九郎…」 「ぁ、も…う…ぁ、あー…っ」 甘く優しい声で囁かれた瞬間、一際強く突き上げられて九郎は絶頂の中意識を飛ばして果てた。 途端に力を失った九郎の体をしっかりと支えて、ヒノエはそっと床に横たわらせる。 「…ちょっとやりすぎてしまったかな…でも、九郎が可愛いからいけないんだよ?」 答えの返る筈もないのにヒノエは意識のない九郎へそんな事を呟く。そうしてひとしきり九郎の見目麗しい顔を眺めると、褥を整え起こさないようにして九郎を移すと自分もその隣に横になった。 「…これからもずっと、オレが守ってあげるよ…オレのお姫様」 意識のある九郎が聞いたら憤死しそうな台詞を何の躊躇いもなく言ってのけると、ヒノエは九郎の隣で彼を守るように抱き寄せて瞼を閉じた。 それから数日後。嬉しそうに詳細を話すヒノエと黄色い歓声の応酬で話を聞く望美に、顔を真っ赤に染めながら動揺しまくる九郎の姿が確認されたとかされなかったとか。 望美の恋愛研究道場・九郎受け編-ヒノエ-ED1 まずはここまで辿り着いた皆様におめでとう! 初めて挑戦した分岐型SS、如何でしたでしょうか? もともとNOVELGAME好きなので、いつかこんな形態で一つの作品を作りたいなと思っていたんですよ。漸く実現しました。 まずは一人目の相手キャラ・ヒノエからのアップとなりました。因みにこちらは一つ目のヒノエEDになっています。分岐点でもう一つの選択を選んだら別の展開が見れるようになっています。 こちらは部屋で二人きりで濃厚なエッチを楽しむという展開でしたがどうでしたか?私は書いていて非常に楽しかったです。この展開でのヒノエはとても九郎に甘いですね…これがうちのオーソドックスなヒノエ×九郎の関係なのです、はい(*´д`*)ヒノエにはとことん九郎を甘やかして欲しい…vそしてラブラブな関係でいて欲しい…それが私の願望(*´д`*) 今後もこんな感じで残り四人の展開を一つずつアップしていく予定ですので、興味を持たれた方はまたお付き合い下さると嬉しいです。 |