「皆さん、こんにちはー。白龍の神子・春日望美です!今日は萌えに飢えている世間の同志達の代表となって、八葉の皆の恋愛模様を突撃インタビューします☆」 開口一番に元気良く望美はそう言い放つ。マイクの代わりだとでも言うのか、その手には立派な柄杓が握られている。よくよく見れば間抜けな格好のように思えるが、望美だとそれさえも何故か格好よく見えるから不思議だ。 「今回はお茶の間の腐女子&源平時代のアイドル、地の青龍・源九郎義経さんを取り巻く恋愛模様に注目していきたいと思いまーす」 どこに向けての言葉かいまいち掴みかねるが、望美は気に留めることもなくサクサクと話を進めていく。 「さぁ、それじゃあ早速今日の主役をここに呼びましょう。こっちに来て下さい、九郎さーん!」 高館の屋敷の庭で金と遊んでいる九郎を手招きして呼ぶ望美に、呼ばれた九郎は望美の企みなど知らずに素直に望美のいる方へとやってくる。 「…何だ、望美?」 側まで来た九郎のフリフリレースのついたような普段着に満悦の思いで九郎を見ている望美に、疑う事を知らない九郎は望美が自分の姿を見て何を考えているかも気付かずそんな風に声を掛ける。 「ねぇ、九郎さん…単刀直入に訊きますけど、九郎さんと九郎さんの恋人との事を教えてもらえますか?」 「…なっ…!?」 それは単刀直入すぎるだろう…という天の声が聴こえてきそうな望美の言い分に、九郎が驚き硬直する。しかし、そんな事など望美にはたいした事ではないらしい、すぐさま次の句を告げてきた。 「普段二人でどんな事をしてるとか、相手のどんな所が好きとか…こっちから質問しますから答えて下さいね♪」 言葉の語尾に音符マークまで飛ばして嬉々とした様子の望美とは対照的に、九郎は開いた口も塞がらない様子で呆然と望美を見ている。何が何だか解っていない、そんな所だろう。 「あ、ちなみに拒否権はないですよ、これは神子命令ですから。使命だと思ってちゃんと答えて下さい」 すっかり言葉を失くしている九郎の状態を気遣う事すらしないどころか、ズビシッとそう言い放つ望美に益々九郎は困り果てる。 「じゃあ早速一つ目の質問行きますよ?ここ、重要ですから、はぐらかしちゃ駄目ですよ」 「う…どうしても答えないといけないのか…?」 困って眉を寄せて往生際悪く尋ねる九郎に、何を言うのかという顔で望美は九郎を見据える。そして一言。 「当たり前でしょう!九郎さんに訊きたいんですから!」 強く言い切られて、流石の九郎も覚悟を決めるしかなくなった。自然と溜息が九郎の口をついて出る。 「さ、気を取り直して一つ目の質問、行きまーす。九郎さんの恋人の名前を答えて下さい☆」 「…っ、そ…それは…」 覚悟を決めたものの改めて自分の口からそれを口にするのは恥ずかしい。九郎は当然の如く言葉を濁らせた。望美がギラリと九郎を睨みつける。はっきり言ってかなり怖い。 「それは?」 「…それは…」 睨みつけてくる望美の表情に危機感を覚えつつ、九郎は再び覚悟を決める。ここで言わなければ何をされるか分かったものじゃない。 九郎は全神経を総動員させて重い口を何とか開いた。 九郎の恋人は…。 A,実は熊野別当のあの人 B,元還内府のあの人 C,九郎専属軍師のあの人 D,九郎の為なら親さえも…なあの人 E,血に飢えた元中納言のあの人 |